2008/06/29
ちいさな、れなの話
その日は、いつもより沢山嬉しい日になるはずだったのに。
私は今でも時々、ここは御伽の国じゃないかなぁって思う事があるんです。
お姉ちゃんと何時も一緒なのは嬉しいけど…… 時々お家に帰りたいって思うんです。
前の日の晩ご飯。まうぼぉーどうふと、おみそしる、ごはんに、わかめときゅうり…… あと、しらすぼしをあえたすのもの (注1) 。いつも通り、私の前にお父さんとお母さん、私の横にレンお姉ちゃん。
「明日は風夏が帰って来るんだよ」
お父さんが、どうだ驚いただろう? って得意げな顔をして、お母さんもいつもよりちょっと嬉しそうにしてた。レンお姉ちゃんも、顔には出さないけど落ち着かないみたいでソワソワしてる。風夏お姉ちゃんは、学校の寮で生活してて、夏休みになったから明日帰ってくる。レンお姉ちゃんは、お外で沢山遊んでくれるけど風夏お姉ちゃんはお家で本を読んでくれたり、オセロで遊んでくれたり、一緒にゲームしたりもしてくれて。走ったり跳んだりするのが、ちょっと苦手な私だから風夏お姉ちゃんが帰ってくるのはとっても嬉しい。
レンお姉ちゃんも嬉しいよね? 早く明日にならないかなぁ。
「そうだねれなち (注2) 。じゃあお腹一杯食べて、今日は早めに寝ないとね……」
お箸を置いて、くりくりっと頭を撫でてくれるお姉ちゃんの手が暖かかった事を私は覚えてます。
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